【所得税の仕組み③】払い過ぎた税金を取り戻そう!

それでは、授業をはじめます。

今回は、所得控除を活用することによって払い過ぎている税金が戻ってくる場合について解説していきます。

脱税ってこと??

いえいえ(笑) 脱税ではないです。
適切に所得控除を活用することによって必要以上に支払っていた税金を取り戻すということです。何も違法にやろうという訳ではないので節税ですね。

普通に会社勤めしている人でも節税とかって出来るんですね。

はい、一般的によく知られている、ふるさと納税や医療費控除、iDeCo(イデコ)も所得控除の一種です。ただ、その前に知っておくべき扶養控除などもあるので、そこから学んで知っておきましょう。

ふるさと納税は私もやっているわ。医療費控除も聞いたことあるわね。
でも扶養控除は私は独身なので関係なさそうだわ。

独身の方でも、例えば年金で生活している親と同居している人は要件を満たせば使える場合がありますよ。そのあたりも解説していきますね。


前回は、所得税の計算上、要件を満たせば所得から”所得控除”というものが引けるという事について解説しましたね。

さて、所得控除は14種類あるのですが、その中の例えば”扶養控除”についてみていきましょう。
この扶養控除が使える場合というのは子供を扶養している場合に限りません。例え大人であっても収入などの要件を満たせば扶養に入れることが出来ます。

例えば、年金で暮らしている親(65歳以上)と同居しており、受け取っている年金が年間158万円以下であった場合、親を扶養に入れる事ができ、38万円(親が70歳未満の場合)もしくは58万円(親が70歳以上の場合)、扶養控除(所得控除)として所得から引くことが出来ます。
これにより、引かれる所得税が減るわけですが、もしこの事実を知らずに申告していなかった場合、実は税金というのは5年前までであれば遡って申告し直すことが出来ます。
そのため、申告し忘れていた場合には、5年分申告し直して払い過ぎていた税金を戻すことが出来るというわけです。また、所得税と同様に住民税も戻すことが出来ます。

もし、両親とともに扶養に入れる事が出来たのであれば、5年間×2人分の扶養控除で100万円ものお金が戻ってくることになります。当然、それ以降は毎年忘れずに申告することによって、扶養に入れなかった時と比べて節税することができます。

注意点として、今私が言っている”扶養”とは、”税制上の扶養”であって、健康保険や年金などの”社会保険の扶養”とはまた別物です。ここは、よく混同されがちですが、扶養と言っても”税金の扶養”と”社会保険の扶養”とがあるので区別して理解しておきましょう。今回は”税金の扶養”の話です。税金上扶養に入れるとは、所得控除である扶養控除または配偶者控除、配偶者特別控除を適用するということです。”社会保険の扶養”に関しては、また、別の機会に解説します。

このように所得控除は、家族構成や家族の状態、収入、年齢などで要件に当てはまるかどうかを考えます。収入は1月1日から12月31日までの1年間の収入、年齢はその年の12月31日時点での年齢が基準となります。

また、親と同居していなくても親に仕送りをしている場合にはこの扶養控除は使えます。この場合、いくら以上仕送りしていれば扶養控除が使えるのか?という明確な基準は今の所ありません。また、仕送りを証明する書類の提出も、基本的には親が国内に住んでいる場合には特に求められていませんが、勤務する会社によっては年末調整の際に送金証明書の提出を求められる場合もありますので、仕送りする際には現金を手渡しするのではなく、銀行振込等、仕送りの証拠が残るようにしておきましょう。
また、常識的に考えて、例えば毎月数百円の仕送りでは認められない可能性が高いことも理解しておきましょう。

その他、見落としがちの所得控除として、育休中の配偶者控除(扶養控除の配偶者バージョン)があります。産休・育休中はそれぞれ産休・育休手当がもらえますが、実はこれらの手当は配偶者控除を判定する上での収入としてはみなされないため、例えば1月1日から12月31日までの間の妻の収入が、産休・育休手当を除いて201.6万円以下であれば配偶者控除、もしくは配偶者特別控除が使えます。
奥さんが産休、育休中に扶養に入れ忘れていたという人は、5年以内であれば確定申告して納め過ぎた税金を戻してもらいましょう!

寡婦(夫)控除もよく見落とれる所得控除の一つです。
例えば、離婚してひとり親になった場合に、収入などの要件を満たせば寡婦(夫)控除が使えるのですが、会社の総務や事務の人が「○○さん、離婚されたのであれば寡婦(夫)控除が使えるので申請してくださいね!」と親切に教えてくれることは少ないと思います。実際、知らずに申請していない人も非常に多いです。これも5年以内であれば確定申告で税金を戻せますので、知らなかった!という人はすぐに税務署に相談してみましょう。多い人だと数十万円戻ってきたという人もいます。
※令和2年から寡婦(夫)控除が改正され、要件が異なっています。寡婦控除とひとり親控除(新たに創設)となっています。

所得控除についてはまた別の機会に詳細を解説していきますが、FPではなく一般の方は以下に当てはまりそうかだけ確認しておくと良いでしょう。
当てはまりそうな場合は、納め過ぎたた税金を戻せる可能性があるのでFPや税理士や税務署に相談してみましょう!

・年金で暮らしている親と同居している場合は扶養に入れられるかも!
・別居していても仕送している場合は扶養に入れられるかも!
・奥さんが産休、育休中の期間は扶養に入れられるかも!
・ひとり親の場合は寡婦(夫)控除が使えるかも!
・要介護認定を受けている親と同居している場合は障害者控除が使えるかも!
・子供の国民年金保険料を親が代わりに支払ってあげていたら社会保険料控除が使えるかも!


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